アニメーションCMのCMサイト

ラボルーム

アニメーションCMにおける「PC映像の原理」

映像表現における大原則とは?

テレビで登場するヒーローが、最後のビーム光線で巨大怪獣をやっつけた時、決まって怪獣は左手、ヒーローは右手だったことを覚えていますか?
これは「映像の原理」で言う「上手(かみて)」「下手(しもて)」の関係にあり、舞台での構図の考え方を当てはめた結果といわれています。
舞台では、観客席から舞台を見て右側を「上手」、左側を「下手」と呼び、強者や上位者は「上手」に、弱者や挑戦者は「下手」に配置するという慣習で構成されています。
映像の世界でも「上手」「下手」を意識して構成されているケースが多く、この定石を外すと、心理的に不安定な状態となり、何となくしっくりこないということになります。

CMサイトで制作するアニメーションCMでも2人の人物が登場し、一方が他方に解説をするシーンがよく用いられます。
視聴者に対し一見してどちらが説明する方(上位者)なのか理解を構図的に促すことは、映像表現を志すものとしては非常に重要な事柄となります。

今回のラボルームでは、映像のダイナミズムの観点から、効果的な構図の有り方を探求するものであります。
インターネット上の映像でも既存の「映像の原理」が当てはまるのか?という疑問を調査するためResearchTV(CMサイトとネットエイジアが共同運営している全面Flashによるフリーレイアウトのアンケート調査システム)を使って、CMサイトユーザーを対象に実際に映像を見てもらいながらアンケート調査を行いました。

アンケート結果
Image Q1は、黒板の前に立っている2人の人物の上位者を聞いた質問。
上位者の象徴として「先生」と思う方を選んでもらった。54%が左側を先生、46%が右側を先生と答える。
「映像の原理」では上手(右側)が上位者「先生」となるところ、逆の傾向が表れた。
Image Q2は、黒板の前に2人が順番に登場した質問。
左手の人が先に登場し、続いて右手の人が登場する。同じく「先生」と思う方を選んでもらった。
73%が左側を先生、27%が右側を先生と答える。Q1の傾向が強化され、先に登場する人が上位者とみなす傾向が表れた。
Image Q3は、黒板の前に2人が順番に登場した質問。
右手の人が先に登場し、続いて左手の人が登場する。同じく「先生」と思う方を選んでもらった。
40%が左側を先生、60%が右側を先生と答える。Q1の傾向が打ち消され、先に登場する人が上位者とみなす傾向が表れた。

まとめ1
以上の結果は、「映像の原理」では基本となっていた、上手(右側)が上位者で下手(左側)が下位者という概念の逆の傾向が表れており、また先にフレームインした方が上位者とみなす傾向が、最も優先するという結果となった。

Image Q4は、動画再生の体感時間に関する質問。
先の映像は「引き絵」を6秒間再生し、後の映像は「引き絵→拡大→引き絵」を各2秒毎で計6秒間で再生し、再生の体感時間が長く感じる方を選んでもらった。
71%が最初の方が長いと、29%が後の方が長いと答えた。

まとめ2
視聴者に長時間を感じさせたい場合は「止め絵」を使い、短時間を感じさせたい場合は「カット割り」で展開するのが有効であることが分かった。
これは従来の「映像の原理」と一致しており、左右の区別の無い現象においてはパソコン上でも「映像の原理」が当てはまるようだ。

Image Q5は、映像の方向性に対する体感時間の質問。
先の映像は人物が←の方向でフレームインする場合、次の映像は人物が→の場合、最後の映像は→と←の交互の場合と、3つを比較して再生の体感時間が最も長く感じる方を選んでもらった。
44%の人が、人物が←への動きが長く感じた。29%の人が、人物が→への動きが長く感じた。
27%の人が、→と←の交互の動きが長く感じたとなった。

まとめ3
「映像の原理」では下手から上手に逆らう→の方向が長く感じることになっているが、パソコン上では←の方向が長く感じると答える傾向が分かった。
また、従来の考えでは→と←の交互の動きは心理的に衝突を意味するため長く感じるはずのところパソコン上では、単調な映像より変化のある映像の方が短く感じるという傾向に打ち消されて長く感じた人は最も少なくなった。

総括
今回の調査により「映像の原理」の定石と言われる上手・下手の概念が、パソコン画面上(正確にはブラウザ表示画面上)では真逆になっているという結果となった。
推測だが、パソコンのデスクトップ画面は左基準で構成されているため、画面左側を上手、右側を下手と捕らえる習慣が定着しているのではないだろうか。
PC向けの映像作品が多く作られるようになってきているが、従来の「映像の原理」だけでは説明の付かない現象が起こっているのも確かで「PC映像の原理」の早期確立が望まれるところです。
CMサイトでも引き続き、PC動画に於ける構図・フレームワークを研究解明し、より効果的なアニメーションCMの制作を行って参ります。

※男女差の偏差を調べたところ、女性の方が、男性よりも数値的にはっきりとした傾向として表れた。

■アンケート詳細データ

Q1.構図から見て、「先生」と思われる方をお選びください。 Q2.構図から見て、「先生」と思われる方をお選びください。
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Q3.構図から見て、「先生」と思われる方をお選びください。 Q4.「再生時間」が長く感じた方をお選びください。
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Q5.「再生時間」が最も長く感じた動画をお選びください。
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